
早期退職して人生を豊かに生きる「FIRE」とは?必要なことや失敗例を考察
「早期退職して働かずに暮らしていきたい」──。そんな希望を抱いている人は少なくないでしょう。ただ、自分が働かずに暮らしていけるのかと想像すると、それが簡単ではないことに気づくはずです。
頭に浮かんだのは「貯金や退職金で生活費は足りるのか?」ということ、つまり生活費・お金の問題ではないでしょうか。知らず知らずのうちに「生活費は毎月のお給料でねん出するもの」と考えてしまい、たいていは「給与収入がなくなったら生きていけるはずがない!」と思うものです。
しかし、決してそんなことはありません。実際に、働かずとも生活できる仕組みをつくった人たちがいます。そうした人たちは、サラリーマン・OLとして働いて毎月の給料をもらいながら、時間をかけて「お金の計画」を入念に立て、早期退職を実現しています。
そうした生き方、考え方が、最近注目されている「FIRE」です。FIREを実現した人たちは、単に「節約してお金をためて、貯金で暮らしている」わけではありません。貯金や退職金に頼らずに早期退職を実現しているのです。
FIREを実現するカギとなる「お金の計画」の立て方について、失敗事例も交えながら解説します。
1注目を集める「FIRE」とは?

- (画像= takasu/ stock.adobe.com)
まずはFIREの概要を解説します。
FIREとは?
「FIRE」は「Financial Independence Retire Early」の頭文字を取った言葉で、「経済的に自立し、仕事を早期に退職する」生活スタイルを指します。
FIREが注目される背景
FIREが注目される背景には価値観の多様化が挙げられます。「働くだけが人生ではない」と考え、自分が本当にやりたいことを追求する人が増えているからと考えられます。
早期退職とFIREの違い
早期退職とFIREの大きな違いは退職後の生活費の工面に対するアプローチです。早期退職は基本的に貯金を取り崩して生活しますが、FIREは資産運用を行い、貯金を減らさないことを目指します。
特にFIREでは、資産額の4%の運用利回りを実現できれば生活費をまかなうことができる「4%ルール」が存在します。年間の生活費が300万円なら、資産額7,500万円を利回り4%で運用すればお金を減らさずに生活することができます。
- Point -
「4%ルール」を簡単に説明すると、年間支出の25倍の資産があれば、年利4%の運用益で生活費をまかなえるという考え方です。
FIREの目安 いくら貯金が必要?
4%ルールに従うなら、FIREに必要な貯金額は生活費を4%(0.04)で割れば簡単に計算できます。しかし慎重派には計算が甘いように感じられるかもしれません。
本来FIREは資産運用で貯金を減らさないことを目指しますが、ここでは仮に収入が全くないと仮定して貯金額の目安を考えてみましょう。
例えば40歳男性がFIREを行う場合、約1億円の貯金が必要だと考えられます。計算の基になった数値は以下の通りです。
【FIREに必要な貯金の目安 計算に用いる数値】
・ 男性の平均寿命:81.41歳(2019年)
・ 1世帯あたり消費支出:月233,568円(2020年平均)
・ 老齢基礎年金(満額):月65,075円(2021年4月分以降)
出典:厚生労働省 令和元年簡易生命表の概況
出典:総務省 家計調査2020年(令和2年)平均
出典:日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
男性の平均寿命は約81歳です。収入が一切ない場合、40歳から41年間生活費を取り崩せるだけの貯金が必要です。月の支出が約23.4万円の場合、41年間(492ヵ月)続けるためには約1億1,512.8万円が必要な計算になります。
65歳からは年金を月に約6.5万円受け取れるので、81歳までの16年間(192ヵ月)で約1,248万円の収入です。これらを差し引きすると1億264.8万円がFIREに必要な貯金額となります。つまり、40歳男性のFIREに必要な貯金額の目安は約1億円です。
この計算は平均的な数値から大まかに計算したにすぎません。あくまで参考程度として自分自身の状況に応じて各数値は変えてください。
FIREのメリット
FIREの大きなメリットは時間に余裕ができるということです。労働から解放され、好きなことだけを行う人生はひとつの理想とも言えます。
2早期退職 FIREを実現するために必要なこと
FIREを実現するには以下4つのポイントに注意しましょう。
FIREを実現するための4つのポイント
・ FIRE後の生活費を把握する
・ 生活費を削減することを意識する
・ 成功例を知る
・ 資産運用や資金計画について検討する
FIRE後の生活費の把握
貯金目標を決めるため、FIRE後の生活費を慎重に把握しましょう。今の生活費が基準になります。
生活費を削減することを意識する
FIREでは資産運用で生活を立てることになるため不確実性が伴います。常に利益を得られるわけではないため、FIRE後は生活費を削減するよう心がけましょう。
成功例を知る
実際にFIREを実現している方の事例を参考にしましょう。事前に予測できないことも、体験談を通じて生の気付きを得られるはずです。
資産運用設計や資金計画について検討する
FIRE後の生活費を生み出す「資産運用設計」が特に重要です。利回り4%を実現するための資産やリスク管理などの視点が求められます。
また親の介護や自身・家族の病気など、急な出費にも備えられるようある程度の余裕をもった「資金計画」も作りましょう。
FIREのための計画は「暮らしとお金の相談サービス」で無料相談を
3早期退職 FIREに失敗する3つの理由

- (画像= k_yu/ stock.adobe.com)
FIREに失敗する主な理由は以下3つです。
・ 将来を見据えた資金計画がない
・ FIRE後の生活費の見積もりが甘い
・ 資産運用で過度にリスクを取って失敗する
1.将来を見据えた資金計画がない
FIRE失敗の典型的な例は資金の枯渇です。資金計画がないと起こりやすいので、必ず資金計画を立てましょう。
2.FIRE後の生活費の見積もりが甘い
資金計画を立てる際、将来の生活費を甘く見積もっていては意味がありません。FIRE後の生活費を過小評価せず、「今の生活費からそう下がらない」前提で計画を立てましょう。
3. 資産運用で過度にリスクを取って失敗する
投資時のリスク管理が甘いと資産運用で失敗し、生活費の源泉が枯渇します。
資産運用に絶対はありませんが、リスクを下げる方法ならあります。過度にリスクを取らず、慎重な運用計画を立てましょう。
4お金の専門家に相談するのもひとつの手
資産運用設計や資金計画を自分で考えるためには専門的な知識が必要だと思った方が多いのではないでしょうか。そんなときに頼りになるのがお金の専門家「FP(ファイナンシャルプランナー)」です。
単なる知識だけではなく、過去の相談経験の中から自身に合った活きたアドバイスを貰うことができます。自分できちんと計画を立てることも大切ですが、「プロへ相談する、意見を聞く」という壁打ち相手として付き合うのも良いのではないでしょうか。
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5早期退職FIREの前にFPに相談 そのメリットとは?
FPに相談する具体的なメリットを解説します。
そもそも、FP(ファイナンシャルプランナー)とは?
FPとはお金について幅広い知識を持った専門家です。例えばドコモのFP紹介サービス「暮らしとお金の相談サービス」では、以下10種のお金の悩みについて無料で相談できます。

- (画像=「暮らしとお金の相談サービス」より引用)
【ドコモ「暮らしとお金の相談サービス」の相談メニュー】
家計、保険、ライフプラン、教育資金、年金、老後資金、住宅、資産運用、介護、相続
お金のことならなんでも相談できる存在といえそうです。
FPに相談することのメリットは以下3つです。
FPに相談することのメリット
・ 家計の見える化ができる:自分の経済現状を正確に把握できる
・ ライフプラン表が明確になる:資金の計画的な準備に向けて必要なことが分かる
・ 運用方法を提示してもらえる:自分にあった資産運用や金融商品が分かる
自分の経済現状を正確に把握できる
FPに相談するメリットは経済状況をプロに見てもらえる点です。家計の可視化を通じて、自分だけでは気付けないポイントについてもアドバイスを受けられます。
資金の計画的な準備に向けて必要なことが分かる
FPは一般的に「ライフプラン表」を作成します。老後までの収支を表やグラフにまとめたものです。資産目標から逆算し、今の時点で必要なことを把握しやすくなります。
ドコモの「暮らしとお金の相談サービス」ならライフプラン表を無料で受け取れます。FIREに向けた計画の最終チェックに利用してみてはいかがでしょうか。
自分にあった資産運用や金融商品が分かる
資産運用の相談も可能です。今の資産運用の問題点や自分に適したお金の増やし方について助言を得られます。
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6FIRE実現のパートナーにFPを
FIREには綿密な計画が大切です。自分だけで計画を立てず、プロの目を入れることでより精度高く、さまざまな視点を反映させたマネープランを作りましょう。
FPは将来の実現をお金の面からサポートするプロです。ドコモの「暮らしとお金の相談サービス」なら無料でFPに気軽に相談できます。お金のことで漠然とした悩みがある方は、気軽に相談することでモヤモヤが明確になるかもしれません。
※本記事は2021年8月15日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。
関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。
AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。
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