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弁護士費用保険の選び方

相手から不当な行為を受けて損害が出た場合、私たちは損害賠償を請求できます。
弁護士に相談すれば、より確実に交渉を進めることができるでしょう。しかし、いざ依頼しようとすると数十万円に及び、簡単には決断できない金額に足踏みをしてしまい、本来なら解決できたトラブルも泣き寝入りしているケースは多々あります。
そこで紹介したいのが「弁護士保険」です。弁護士保険に加入することで、万が一トラブルに巻き込まれた際の弁護士等への委任や法律相談、弁護士等への支払い費用の補償をうけられるものです。具体的にどのような保険なのか、本記事を通じて紹介します。

弁護士保険とは?

まずは弁護士保険の概要を押さえましょう。

(画像=sabthai / stock.adobe.com)

そもそも弁護士保険とはどんな保険?

弁護士保険は弁護士費用を補償する保険です。
損害賠償請求を委任する際の費用や法律相談を行うときの費用などに保険金が支払われます。

例えば以下のようなケースで弁護士費用が発生した場合、弁護士保険に加入していれば保険金を受け取れるでしょう。

【弁護士保険が補償するケース】

  • 交通事故の相手方が賠償に応じないので弁護士に損害賠償請求を委任した
  • 痴漢やストーカー行為で精神的苦痛を被ったため弁護士に損害賠償請求を委任した
  • 子どもがいじめを受けたため、弁護士に相談した

弁護士に相談するケースは増えている

近年、弁護士に相談するケースは増えています。地方裁判所における訴訟件数は低下傾向にあるものの、弁護士の選任率は反対に上昇傾向にあります。2019年には90%を超えるまでに上昇しました。

【弁護士選任率の推移(地方裁判所における通常民事訴訟)】

事件総数 弁護士選任率
2009年 21万4,517件 74.7%
2014年 14万1,008件 84.8%
2019年 13万1,560件 91.5%

訴えの種類別の弁護士関与率は以下の通りです。内訳としては「金銭を目的とする訴え」の件数が最も多く、弁護士の関与率も92.8%と平均を上回りました。

【訴えの種類別 弁護士の関与率(地方裁判所 2019年)】

出典:日本弁護士連合会 弁護士白書(2020年)
事件総数 弁護士を付けたもの
金銭を目的とする訴え 21万4,517件 8万3,393件(92.8%)
建物を目的とする訴え 2万5,109件 2万1,706件(86.4%)
土地を目的とする訴え 6,948件 6,428件(92.5%)
知的財産権に関する訴え 258件 246件(95.3%)
その他 8,476件 7,735件(91.3%)

これに伴い、弁護士保険の販売件数も右肩上がりです。2005年度では約93万件でしたが、2019年度には30倍以上の約2,807万件にまで販売件数が上昇しました。弁護士に対するニーズの高まりがうかがえます。

(画像:日本弁護士連合会HPより著者作成)

出典:日本弁護士連合会 弁護士費用保険(権利保護保険)について

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弁護士に相談や依頼するとどれくらいかかる?

弁護士費用は個々の弁護士が基準を決めるため、前もってどれくらいの費用がかかるかを示すことができませんが、目安ならあります。

日本弁護士連合会がアンケートに基づいて作成した「市民のための弁護士報酬ガイド」から、以下に弁護士費用の目安をまとめました。やはり決して小さい額ではないようですね。

【弁護士費用の目安】

※ アンケートで最も回答が多かった費用。()は回答率

出典:日本弁護士連合会 市民のための弁護士報酬ガイド2008年度アンケート結果版

依頼の概要 弁護士費用の目安
交通事故 交通事故の被害者が依頼。相手方に1,000万円の損害賠償を提訴し全額回収した。 着手金:30万円(49%)
報酬金:50万円(35%)
金銭の貸借 300万円の返還請求のため弁護士名で内容証明郵便を出した。 手数料:3万円(42%)
300万円の返還請求を提訴し、全額回収した。 着手金:20万円(44%)
報酬金:30万円(50%)
法律相談 1時間の相談にとどまった。 1万円(56%)

「弁護士への相談」は強力なカードですが、大きな費用がかかります。また上記はあくまで目安のため、場合によってはさらに大きな負担が発生するでしょう。

「場合によっては弁護士に依頼したい」と考える場合、弁護士保険への加入をおすすめします。

Point

弁護士保険は各保険会社が提供していますが、dアカウントを持っているならドコモ「AIほけん」の弁護士保険なら、スマホで簡単に契約でき、最大300万円までの弁護士費用が補償されます。

AIほけん」の弁護士保険については最後に詳しく解説します。

弁護士保険がおすすめなのはこんな人

弁護士保険は例えば以下のような方におすすめです。

  • 日頃から自動車を運転しており、あおり運転のトラブルに備えたい方
  • 子供のいじめといった日常トラブルに備えたい方
  • SNSを活用しており、悪意ない投稿が誹謗中傷等で訴えられる事例に備えたい方

ドライブレコーダーが普及したことで、録画データがSNSや報道番組でも取り上げられる機会が増えてきました。あおり運転の危険性がより可視化され、他人事ではないと感じる人も多いでしょう。あおり運転を受けて損害賠償請求をする場合でも弁護士保険で補償を受けることができます。

また弁護士保険の多くは家族も補償範囲に含まれるため、家族に子どもがいる方にもおすすめです。子どもが学校でいじめに遭った場合も弁護士に相談でき、その費用を保険でまかなうことができます。

他にも副業や新たなビジネスチャンスを獲得するためにSNSを活用して情報発信をする人が増えてきました。SNS運用をする中、悪意無い投稿が誹謗中傷として訴えられるケースもゼロではありません。そんな場合にも弁護士保険が活用できます。

弁護士保険のメリット

ここで弁護士保険のメリット、デメリットも確認しておきましょう。
まずはメリットから解説します。弁護士保険に加入する主なメリットは以下の通りです。

  • 費用面の不安がなくなり、弁護士に相談するハードルが下がる
  • 安い保険料で、大きなトラブルに備えることができる
  • 幅広いトラブルに備えることができる

費用面の不安がなくなり、弁護士に相談するハードルが下がる

繰り返しますが、弁護士保険は弁護士費用や法律相談費用を補償する保険です。費用の負担がなくなるため、気軽に相談できるようになる点が弁護士保険の代表的なメリットです。

安い保険料で、大きなトラブルに備えることができる

弁護士に相談するようなトラブルの場合、金銭面も大きくなりがちです。 そんなトラブルに毎月数百円程度で大きな安心感を買うことができます。

幅広いトラブルに備えることができる

法律トラブルと聞くと自分には関係無いと思う方もいるでしょうが、運転中のあおり運転被害、子供のいじめ被害、電車通勤中の痴漢被害......日常生活では気をつけていても避けられないトラブルが起こります。
弁護士保険に加入することでこうした万が一に備えることができます。

弁護士保険のデメリット

弁護士保険のデメリットも確認しておきましょう。弁護士保険ごとに異なりますが、主に以下3つが代表的なデメリットです。

Point

  • すべての法律トラブルに関して補償されるわけではない
  • 補償されない期間がある
  • 免責金額やてん補限度が設定されている

すべての法律トラブルに関して補償されるわけではない

弁護士保険は、弁護士に依頼できるすべての法律トラブルをカバーしているわけではありません。主に以下のようなケースが保険金支払い対象外として考えられます。

【弁護士保険 主な補償対象外のケース】

  • 契約者や保険対象者の故意または重大な過失によって生じた損害
  • 一定の親族間の損害賠償

こちら側に原因がある法律トラブルで弁護士費用が発生した場合、弁護士保険からは保険金が出ないケースがあります。また配偶者や子のように、一定の範囲内の親族を相手に損害賠償請求を行う場合も対象外とされることが多いため注意しましょう。

補償されない期間がある

弁護士保険によっては補償されない期間があります。

弁護士保険の補償が始まる日を「責任開始日」といい、契約から責任開始日までの期間を「待機期間」といいます。この待機期間中に発生したトラブルに基づく弁護士費用は保険金支払いの対象外です。

また特定のトラブルについて一定期間補償の対象外とする「不担保期間」が設けられることもあります。契約前に確認しておきましょう。

免責金額や補償額の上限が設定されている

「免責金額」と「てん補限度額(補償額の上限)」が設定されている場合、弁護士費用の全額が補償されない点もデメリットです。両者の違いを以下にまとめました。

【「免責金額」と「てん補限度額」の概要】

免責金額 補償の下限のこと。
例えば免責金額5万円の場合、弁護士費用が5万円以下の場合、保険金は支払われない。5万円を超える場合も、5万円を差し引いて保険金が支払われる。
てん補限度額 補償の上限のこと。
例えばてん補限度額300万円の場合、300万円を超える部分の弁護士費用は補償の対象外。

免責金額やてん補限度額が設定されていると、弁護士費用の全額が補償されないケースが発生します。契約時には両方を確認しておきましょう。

ただし、これらが設定されていると一般に保険料が安くなるため、あえて免責金額やてん補限度額が設定されている弁護士保険を選ぶのも手です。

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弁護士保険の注意点

最後に、弁護士保険の注意点について確認しておきましょう。

(画像:sabthai / stock.adobe.com)

対象は民事事件の場合に限る

弁護士保険の多くは民事事件のみを保険金対象としています。刑事事件にかかる弁護士費用は支払い対象外となるケースが多いので注意しましょう。

すでに発生しているトラブルに対しては対象外

上述した「責任開始日」前のトラブルで発生した弁護士費用は補償の対象外です。トラブルに巻き込まれてから契約しても遅いので、できるだけ早く契約しておきましょう。

途中解約しても保険料は戻らない

弁護士保険の多くは「掛け捨て型」で、解約しても保険料は返ってきません。貯蓄性はないため注意しましょう。

※ 本記事は2021年9月1日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。

弁護士を依頼したときの料金 種類と相場は?

弁護士に依頼する際に掛かる「弁護士費用」には、大きく分けて「弁護士報酬」と「実費」の2種類があります(表1)。

表1. 弁護士費用の種類

弁護士報酬 手付金、報酬金、手数料、法律相談料、日当、タイムチャージ、鑑定料、顧問料 など
実費 収入印紙代、交通費、通信費、コピー代、保証金、供託金 など

それぞれの費用の内容と相場を見ていきましょう。

相談費用

弁護士が依頼者に対して行う法律相談の費用です。1時間当たり5,000円から1万円かかることが多いようです。

着手金

着手金は弁護士に事件を依頼した段階で支払うお金です。事件の結果に関係なく掛かる費用なので、不成功に終わっても返還されません。着手金は報酬金の内金でも手付けでもありませんので注意が必要です。
依頼する内容によって金額は大きく変わりますが、おおよそ30万円から50万円程度かかります。

報酬金(成功報酬)

報酬金は事件が成功に終わった場合、事件終了の段階で支払う費用です。例えば裁判の場合、完全な勝訴ではなく、主張が一部認められたケースなども考えられますが、こうした一部成功の場合もその度合いに応じて支払います。ただし、全面敗訴など不成功の場合は支払う必要はありません。 報酬金の金額はさまざまで、依頼内容によって10万円から180万円程度と大きな幅がある費用です。

日当

日当は弁護士が事件を処理するために、事務所から移動することによって、時間的に拘束される際に支払われる費用で、交通費や宿泊費とは別のものになります。裁判所に出廷する際に支払われる出廷日当や、出張ごとにかかる出張日当などがあります。

実費

実費とは、事件処理のため実際に出費されるもので、表1で紹介したように収入印紙代、交通費、通信費、コピー代、保証金や供託金などです。必要となる費用は弁護士への依頼内容によります。 特に出張の際の交通費や宿泊費は、交通手段やホテルのグレードによっては意外と大きな支出になることがあるので、依頼する際には弁護士によく確認しましょう。

弁護士に依頼する3つのメリット

弁護士に依頼するにはそれなりに費用がかかりますが、当然それに見合ったメリットがあります。ここでは代表的なメリットを3つご紹介します。

メリット1

時間や労力を軽減

紛争を解決するためには、相手方との電話や面談による話し合い、文章のやりとりといった交渉に加え、示談書といった書類の作成を行う必要があります。また、訴訟になれば、訴状や答弁書など、裁判所に提出する書類の作成に加え、裁判の日には裁判所に出廷しなければなりません。

普段仕事をしている人にとって、馴染みのない紛争関連の書類を作成するのは大変な手間です。また、公的機関である裁判所は原則土日・祝日は休みのため、裁判の日は仕事を休むことになります。

弁護士に依頼すれば、相手方との交渉、書類の作成から裁判への出廷まですべて任せることができ、時間や労力を大きく軽減することができます。
手間や労力だけでなく、相手方と直接会わなくていいことは精神的負担の軽減につながります。紛争は当事者同士が納得できないため起こるものなので、直接話し合いをすると大きなストレスを感じます。そういった交渉では、間に弁護士が入るだけで心理的にも楽になるものです。
こうした交渉や調停・訴訟などの法的手続きの代理人になれるのは弁護士だけなのです。

メリット2

最適な解決方法を選択できる

示談交渉や調停、訴訟といった紛争になじみがない人は多いでしょう。いざ交渉といっても何をすればいいのか分からず、とりあえず必要な書類を作成したり、相手の主張に振り回されたりなどで、自分の望む形で解決するハードルは高いと言えます。
弁護士には、法律の知識だけでなく、多くの紛争を解決してきた経験があります。この豊富な経験により、それぞれの事案ごとに見通しを立て、有利に解決するための最適な方法を提示してくれる存在です。

メリット3

円滑に、迅速にトラブルを解決できる

紛争の当事者同士の話し合いでは、お互い感情的になってしまうのは仕方のないことでしょう。しかし、感情的な話し合いをいつまで続けていても、議論は平行線のままなので、時間を無駄にするだけです。
弁護人が代理人として間に入ることにより、感情的な対立を和らげつつ、主張を整理して伝えることが可能になります。それにより、冷静な判断に基づいた紛争解決ができやすくなります。 手間と労力を軽減するだけでなく、解決までの時間を短くできる可能性が高まるのも弁護士に依頼する大きなメリットです。

良い弁護士とは?見つけるときの3つのポイント

弁護士にかかる費用は決して安くありません。依頼するのであれば良い弁護士に依頼したいと思うのは当然です。しかし、どの弁護士が良いのか見分けるのはなかなか難しいことです。ここでは弁護士選びでの失敗をなくすために、よい弁護士を見つける3つのポイントをご紹介します。

ポイント1

業務の流れと料金体系をきちんと説明してくれる

まず、信頼できる弁護士は、解決の道筋と費用をしっかり説明してくれます。逆に見積書をはっきり提示してくれない弁護士には注意が必要です。
確かに実際に事件に着手してみないことには細かい費用の確定はできませんが、経験豊富な弁護士であれば、ある程度の説明はできるはずです。
この説明がない弁護士は、経験がないため予測できていないかもしれませんし、最悪の場合は後から想定していない費用を請求してくることも考えられます。
依頼する側としては、弁護士費用とメリットを天秤にかけて、メリットのほうが大きいと判断できれば依頼したいですよね。具体的な費用が分からなければ判断できません。

ポイント2

調停や訴訟に持ち込む前にトラブルに寄り添うか

調停や訴訟を解決することだけが弁護士の仕事ではありません。良い弁護士は、無用な紛争が将来起こることを回避するために依頼者に寄り添ってくれるはずです。

ポイント3

できることとできないことをはっきり示すかどうか

多くの弁護士はそれぞれ得意な分野、専門分野を持っています。良い弁護士は、自分のできることとできないことを自覚し、できないことに関しても、どういった専門家とどのように進めていくか、きちんと依頼人に示すことができます。
一番良くないのが、その弁護士が自分の紛争を解決できるかできないか分からないまま依頼をしてしまうことです。弁護士といってもすべての制度に精通しているわけではないため、HP等で得意な専門領域が示されているかどうか確認してみるのも良いでしょう。

いざというとき費用で悩まないために、
「弁護士保険」を検討しよう

紛争解決の専門家である弁護士に依頼することで、いざというときの時間と手間、そして精神的負担を大きく軽減できることが分かりましたが、もうひとつ心配なことが依頼時にかかる費用ですよね。 ドコモの「AIほけん」に追加された「弁護士保険」の補償内容を紹介します。一般的な弁護士保険の費用は、月額2,000円以上が相場とされますが、「AIほけん」の「弁護士保険」は、「弁護士費用等補償特約」と「個人賠償責任補償特約(相手をケガさせた場合などの賠償金を補償する特約)」のセットで月額430円からと、非常にリーズナブルに加入できるところが大きなポイントです。
トラブルに巻き込まれると時間も労力も費用も掛かるため、すこしでも費用を抑えられるのは嬉しいですよね。

弁護士保険で費用が補償されるトラブルの事例

日常生活の中で起こることが想定されるトラブルの中で、弁護士保険で費用が補償される事例にはどんなものがあるでしょう。

ケース1 自転車に轢かれ大ケガを負ったが、相手が保険に加入しておらず何も対応してもらえないので、損害賠償請求したい
ケース2 電車内で痴漢され、怖くて電車に乗れなくなってしまったため、相手に損害賠償請求したい
ケース3 子どもが学校で所持品を隠される等のいじめを受け、不登校になった。どのように対処すべきか、弁護士に相談したい

基本的には、国内において、急激かつ偶然な外来の事故により他人からケガを負わされたり物を壊された場合、または名誉・プライバシーの侵害、痴漢・ストーカー行為・いじめ・嫌がらせ等により精神的苦痛を被った場合等が適用されます。どれもわたしたちの身近にあるトラブルです。巻き込まれる前に、「弁護士保険」で備えておくとよいかもしれません。
ただし、補償対象となるトラブルは保険商品によって異なります。事前に補償内容を確認しておきましょう。

※ 本記事は2021年9月1日時点の内容であり、将来の商品改定によっては内容が変更になる可能性がございます。

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