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保険の基礎知識
2021.02.02

保険料率で決まる保険料の算出方法や保険の仕組みをご紹介します

目次

損害保険の保険料はどのように決まるのでしょうか。ポイントは「保険料率」です。この「保険料率」というものを理解すると、保険料の仕組みが理解しやすくなるでしょう。

本記事では、保険や保険料の大まかな仕組みを解説し、保険料率や各損害保険の保険料について紹介します。損害保険の仕組みについて理解が深まれば、自分にぴったりな保険を見つけやすくなるでしょう。

なお、本記事で扱う保険は「損害保険」を前提にしているので、「生命保険」の説明とは異なる場合があります。ご注意ください。

1保険の仕組みってどうなっているの?

保険とは、お互いに助け合う「相互扶助」で成り立っています。1人では耐えられないような大きな負担をたくさんの人で分け合い、1人あたりの負担を軽減する仕組みです。

たとえば火災などで家を失ってしまい、再建に3,000万円掛かるとします。1人では大きな負担になってしまいますが、仮にこの3,000万円を1万人で分け合えば1人あたり3,000円で済みます。

これが保険の大まかな仕組みです。

  • (画像=著者作成)

この保険の仕組みを支えているのが「保険会社」です。加入者から保険料を集め、いざという時のためにお金を貯めておきます。加入者に損害が発生すると、保険金を支払い、補償します。

  • (画像=著者作成)

2保険料率とは

保険料率とはどのような数値?

保険料率は、保険料を算出するための基礎的な数値です。

保険料率は以下の2つで構成されています。

・純保険料率:将来の保険金支払いに充てられる保険料を算出する数値
・付加保険料率:保険会社の経費に充てられる保険料を算出する数値

  • (画像=著者作成)

保険料率って誰が算出しているの?

保険料率は保険会社がそれぞれ算出しています。

ただし各保険会社は、「損害保険料率算出機構」という団体が算出した「参考純率」・「基準料率」というものを参考に、あるいは使用して保険料率を決めています。

・「参考純率」

損害保険料率算出機構が算出する、純保険料率(保険金の支払いに充てられる保険料率)の部分。

保険会社はこの「参考純率」を参考にして、自社の純保険料率を算出できます。損害保険料率算出機構では「火災保険」「自動車保険」「傷害保険」の参考純率を算出。

ちなみに保険会社の経費などに充てられる「付加保険料率」は、保険会社がそれぞれ独自に算出しています。

・「基準料率」

損害保険料率算出機構が算出する、純保険料率と付加保険料率を合わせた保険料率のこと。保険会社は自社の保険料率としてこの「基準料率」を使用できます。

損害保険料率算出機構では「自賠責保険」「地震保険」での基準料率を算出しています。

保険料率を算出するための3つの原則

損害保険料率算出機構は、保険料率を算出する際に以下3つの原則を守って算出しています。

保険料率を算出するための原則① 合理的
保険料率を算出するための原則② 妥当
保険料率を算出するための原則③ 不当に差別的でない

①の「合理的」とは、客観性があり精度が高く、かつ十分な量があるデータを用いて算出することを示しています。保険料率は将来を合理的に予測しないといけないため、過去のデータを大量に集め、正しく分析しなければならないということですね。

②の「妥当」とは、加入者が支払える保険料水準であること、さらに保険会社の業務の健全性が維持できる保険料水準であるべきだということを示しています。

保険料は加入者によって異なる場合があります。③の「不当に差別的でない」とは、その保険料の区別に「合理的な根拠が必要だ」ということを示しています。

保険料率はこれら3つの原則を守り、契約者が公平に加入できるように算出されています。

3保険料率は変動する

損害保険料率算出機構は、保険料率が適正な水準を維持できているか毎年検証しています。社会環境の変化や、事故の要因などは変化すると考えられるからです。

検証の結果、必要があれば保険料率は改正されます。したがって、保険料は一定ではなく変動する場合があります。

近年では台風の被害を反映し、2019年10月に火災保険の保険料率が平均4.9%引き上げられました。

4代表的な損害保険の保険料・保険金について

ここからは保険の種類ごとに、保険料や保険金について紹介していきます。

自賠責保険

自賠責保険とは、すべての自動車保有者に加入が義務付けられている強制保険です。

保険料は用途・車種に応じて変動するので、一律ではありません。「運転の目的(自家用・事業用など)」や「自動車の種類(乗用・貨物、普通・小型・軽など)」などで保険料が異なります。

交通事故で相手が死傷してしまった場合、相手に支払う賠償金として保険金が支払われます。自賠責保険から支払われる保険金は、支払限度額が法令で以下のように定められています。

事故の相手方の状態 支払限度額
死亡 3,000万円
後遺障害 75~4,000万円
傷害 120万円

補償の対象は人だけです。物品は補償されないので、交通事故で破壊された車や物があっても補償されません。自身のケガや死亡を補償する機能もありません。

自動車保険

自動車保険は自賠責で補償されない範囲を補償したい場合に加入する、任意の保険です。

自動車保険の保険料は、自賠責保険と同じように「運転の目的」や「自動車の種類」でも異なりますが、「自動車の型式」や過去の事故歴などでも異なり、自賠責保険より細かく区分されています。

自賠責保険は事故の相手方の身体に生じる損害(ケガ、後遺障害、死亡)のみの補償ですが、自動車保険は以下のように幅広く補償できます。

自賠責保険 自動車保険
相手の ケガ、後遺障害、死亡
物品 ×
自分の ケガ、後遺障害、死亡 ×
物品 ×

火災保険

火災保険は、住宅に関する損害を幅広く補償する保険です。補償の対象は建物だけでなく、家財の損害も対象とすることができます。

保険料は補償の範囲などでも異なりますが、「建物の構造(木造、コンクリート造、鉄骨造など)」や「建物の所在地」などでも異なります。

主に以下のようなことが原因で起こった損害が、火災保険では補償されます。

火災などの事故 自然災害 その他
・火災
・破裂、爆発
・飛来、落下、衝突
・給排水設備からの水漏れ
・風災、ひょう災、雪災
・水災、浸水
・デモや暴動などによる破壊
・盗難

また火災保険には大きく2種あり、補償範囲が広い「住宅総合保険」と、補償範囲が狭い「住宅火災保険」があります。補償の範囲は契約ごとにも異なりますので、事前にしっかり確認しましょう。

注意点は、地震が原因で生じた損害は補償されないという点です。仮に火災で家を失ったとしても、火災の原因が地震の場合は補償の対象外です。(地震火災費用保険金が支払われる場合があります。)

地震による損害を補償したい場合は、次に紹介する「地震保険」に加入する必要があります。

地震保険

地震保険は、地震により生じた住宅への損害を補償する保険です。地震保険単独では契約できず、必ず火災保険とセットで契約します。

  • (画像=著者作成)

地震保険では建物や家財の損害状況に応じ、以下のように保険金が支払われます。

損害の程度 支払われる保険金 建物 家財
全損 100%
(時価が限度)
①主要構造部に時価額50%以上の損害
②延床面積の70%以上が流失・焼失
家財全体の時価の80%以上の損害
大半損 60%
(時価の60%が限度)
①主要構造部に時価額40%以上の損害
②延床面積の50%以上が流失・焼失
家財全体の時価の60%以上の損害
小半損 30%
(時価の30%が限度)
①主要構造部に時価額20%以上の損害
②延床面積の20%以上が流失・焼失
家財全体の時価の30%以上の損害
一部損 5%
(時価の5%が限度)
①主要構造部に時価額3%以上の損害
②床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水
家財全体の時価の10%以上の損害

地震保険の保険料は、どの保険会社と契約しても同じです。地震保険は国と損害保険会社が共同で運営している保険なので、保険会社で差がありません。

保険料は次のように「建物の構造」と「所在地」で決定します。

  • (画像=著者作成)

なお、2年以上の長期契約や建物の構造によって地震保険料の割引があります。

補償の対象は火災保険と同じく建物と家財ですが、契約できる保険金額は契約している火災保険の30~50%までの範囲に限定されています。火災保険より少ない金額までしか補償されず、また契約できる保険金額の上限は建物で5,000万円、家財で1,000万円です。

傷害保険

傷害保険は、交通事故のように急激かつ偶然、外来によるケガや死亡による損害を補償する保険です。「医療保険」に似ていますが、傷害保険では病気は補償の対象外という点に注意が必要です。

保険料は、被保険者の「職種」によって異なります。一般的にケガをしやすい職種では保険料が高くなります。

また、旅行傷害保険の場合は「旅行期間」でも保険料が異なります。旅行期間が長いほどリスクが高いと考えられるため、保険料が高くなります。

傷害保険には、日常生活を補償する「普通傷害保険」のほか、「交通事故傷害保険」や「旅行傷害保険」などの種類があります。

53つの原則で公平にリスクを負担

損害保険の保険料は保険契約ごとに決まり、保険金が支払われる可能性が高い場合には保険料も高くなります。したがって同じ保険の同じ内容の契約でも、加入者ごとに保険料は異なる場合があります。

ただし、保険料の差は「保険料率の3つの原則」に基づき、公平な負担になるよう合理的に算出されているので、安心して加入していいといえるでしょう。

※本記事は2020年11月9日時点の内容であり、将来の商品改定等によっては内容が変更になる可能性がございます。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。
関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。
AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。

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